虹色マテリアル
そんな茜との何気無い朝の会話で笑いあっていれば、普段時間ぎりぎりに入ってくる担任が、珍しくチャイムが鳴るより早く教室のドアを開けた。

一瞬教室でお喋りに花を咲かせていた何人かの生徒がキョトンと顔を見合わせたが、「突然……それもこんな季節に驚くだろうが今日は転校生が来ているんだ」と、皆の視線の先で担任が口にすれば、再び教室はうるさい雑音に包まれた。


何故そんなに元気になれるのか、必死に「男子ですか!?」「可愛い奴だといいよな!!」と担任に駆け寄るクラスメイトたち。

まだ若く色々な状況が初めてなのであろう担任は困り果てた様子で手を顔の前にだし生徒を落ち着かせようとしていたが、由良と茜はそれがお手上げを表しているように見えて二人でこっそりと少し笑っていた。


「でも、どうせ来るなら楽しい人がいいよね」


席につきなさい! そう痺れを切らした担任が叫んだと同時に茜は由良に耳打ちし、自分の机の元へ帰っていった。

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