愛を教えて ―背徳の秘書―
「今さら、嘘なんか……」
「だから、嘘を言ってどうするんだ?」
「志賀香織さんのことも嘘だったじゃない! あの写真は」
「確かに嘘はたくさんついてきた。でも、今日は何もしてないし、山南のことも嘘じゃないっ!」
「今日は、って」……万里子は呆れ顔だ。
そのとき、ひとりの女性看護師がやって来て雪音を診察室に連れて行こうとした。
雪音は歩き出した足を止め、振り返り、宗の顔を見上げる。それは苦悩に満ちた表情だった。
「どうして……飛び降りたりしたの? 無視してくれたら忘れられたのに」
なぜ飛び降りたのか……そんなことは宗にもわからなかった。
これまでの人生で宗に愛を教えてくれた女性などいない。
女は皆、宗を利用した。同じように、彼も女性を利用してきただけである。
愛はプレゼントを彩るリボンのようなものだった。セックスを見栄えよくし、欲望を耳触りのよいものに変える。
だが……役目を終えればゴミ箱に捨てられる運命なのだ。
「だから、嘘を言ってどうするんだ?」
「志賀香織さんのことも嘘だったじゃない! あの写真は」
「確かに嘘はたくさんついてきた。でも、今日は何もしてないし、山南のことも嘘じゃないっ!」
「今日は、って」……万里子は呆れ顔だ。
そのとき、ひとりの女性看護師がやって来て雪音を診察室に連れて行こうとした。
雪音は歩き出した足を止め、振り返り、宗の顔を見上げる。それは苦悩に満ちた表情だった。
「どうして……飛び降りたりしたの? 無視してくれたら忘れられたのに」
なぜ飛び降りたのか……そんなことは宗にもわからなかった。
これまでの人生で宗に愛を教えてくれた女性などいない。
女は皆、宗を利用した。同じように、彼も女性を利用してきただけである。
愛はプレゼントを彩るリボンのようなものだった。セックスを見栄えよくし、欲望を耳触りのよいものに変える。
だが……役目を終えればゴミ箱に捨てられる運命なのだ。