愛を教えて ―背徳の秘書―
だが、


『それって犯罪よ。あなたおかしいわ!』


京佳はそんなことを言い始めたのだ。

その挙げ句、自分が話した宗との関係は、受付の先輩から聞いたことだった、と告白した。自信があったのに宗に交際を断わられ、それを薫に笑われるのが嫌で、嘘をついたのだ、と。


薫は自分の名前で朝美に花束を贈った。


『謝罪をしたいけど今は勇気が出ない。代わりにこの花を届けて欲しい』


そして京佳は病院を訪れ、薫の名前を受付に告げたのである。


京佳も自分を騙した。宗も……雪音という女は、薫たちより年下だろう。

薫は、朝美の妊娠がどうなったか確認するため病院を訪れた。そして、雪音との会話を聞いてしまい……。


薫の中で感情が入り乱れていた。


誰が憎いのか、何が憎いのか、なぜ憎いのか……よくわからない。たくさんの嘘が心を絡め取り、薫を妬みという地獄に引き摺り込んでいった。


< 129 / 169 >

この作品をシェア

pagetop