愛を教えて ―背徳の秘書―
(22)愛する君のために(最終話)
「でも、よかったわ……命に別状なくて」
万里子が花瓶を手にそんな言葉を口にした。花はピンクのカーネーションとかすみ草、母の日用に皐月の病室に飾ったものをお裾分けだと言う。
宗が薫に刺され十日が経った。
世間ではGWの真っ最中だ。珍しく雨は一滴も降らず、晴天の日が続いているのに……宗はベッドから一歩も動くことができない。
しかも、偶然か卓巳の嫌がらせか、宗の病室は彼が刺された部屋であった。
「いっそ死んでくれたほうが、私としては楽だったんだが……」
面会謝絶がなくなってから、万里子は毎日のように宗の見舞いに来てくれる。
だが、卓巳が訪れたのは初めてだ。
それもそのはず、卓巳は事件の後処理と社のダメージコントロールに休日返上で奔走している。そのせいか、宗には容赦がない。
「はあ……申し訳ありません」
万里子が花瓶を手にそんな言葉を口にした。花はピンクのカーネーションとかすみ草、母の日用に皐月の病室に飾ったものをお裾分けだと言う。
宗が薫に刺され十日が経った。
世間ではGWの真っ最中だ。珍しく雨は一滴も降らず、晴天の日が続いているのに……宗はベッドから一歩も動くことができない。
しかも、偶然か卓巳の嫌がらせか、宗の病室は彼が刺された部屋であった。
「いっそ死んでくれたほうが、私としては楽だったんだが……」
面会謝絶がなくなってから、万里子は毎日のように宗の見舞いに来てくれる。
だが、卓巳が訪れたのは初めてだ。
それもそのはず、卓巳は事件の後処理と社のダメージコントロールに休日返上で奔走している。そのせいか、宗には容赦がない。
「はあ……申し訳ありません」