愛を教えて ―背徳の秘書―
事件を起こしたのは薫で、きっかけを作ったのは京佳かもしれない。
しかし、宗の断り方に問題があったんじゃないか? 宗の日頃の行いが、彼女らを傷つけ、周囲の人間を巻き込んだんじゃないか? そんな思いが拭いきれない。
それに、結局、宗ひとりでは雪音を死なせていただろう。
卓巳の機転と土壇場の対応が、皆を救った。雪音には卓巳のような男が望ましい。少なくとも宗以上の男は掃いて捨てるほどいる。
「悪いけど、もう来ないでくれないか?」
宗はそんな言葉で雪音を遠ざけた。
それから一週間、雪音は一度も姿を見せてはいない。
「社長……お願いがあります」
宗は思い切ったように顔を上げ、卓巳を見た。
「今回は本当にご迷惑をおかけしました。費用はすべてお返しします。個人秘書を……辞めたいと思っています。どうか、お許しください」
ひと息に言うと、宗は目を閉じ、頭を傾けた。
慌てて口を開きかける万里子を制し、卓巳はひと言「好きにしろ」そう答えたのだった。
しかし、宗の断り方に問題があったんじゃないか? 宗の日頃の行いが、彼女らを傷つけ、周囲の人間を巻き込んだんじゃないか? そんな思いが拭いきれない。
それに、結局、宗ひとりでは雪音を死なせていただろう。
卓巳の機転と土壇場の対応が、皆を救った。雪音には卓巳のような男が望ましい。少なくとも宗以上の男は掃いて捨てるほどいる。
「悪いけど、もう来ないでくれないか?」
宗はそんな言葉で雪音を遠ざけた。
それから一週間、雪音は一度も姿を見せてはいない。
「社長……お願いがあります」
宗は思い切ったように顔を上げ、卓巳を見た。
「今回は本当にご迷惑をおかけしました。費用はすべてお返しします。個人秘書を……辞めたいと思っています。どうか、お許しください」
ひと息に言うと、宗は目を閉じ、頭を傾けた。
慌てて口を開きかける万里子を制し、卓巳はひと言「好きにしろ」そう答えたのだった。