愛を教えて ―背徳の秘書―
雪音に言ってないことがふたつ。


宗の両親は、放蕩息子と結婚してくれる女性を神棚に祀り上げそうな勢いで喜んでいる、ということ。


その原因は……。

中学高校の同窓会には顔を出せないほど、悪さをしてきたことは雪音にはナイショだ。いや、警察のご厄介になるようなことはしていない。

だが……若気の至りということで、カンベン願いたい。


そしてもうひとつ。

この旅館は宗の親戚が経営している。今は、三つ下の従弟が支配人を勤めていた。それなりに、悪さも一緒にした仲のよい従弟だ。


「しばらく貸し切りで頼む」


そう言って融通を利かせてもらっている。


ま、ちょっとしたスリルも愛の営みには必要ってことで――。


雪音も楽しんでいるようだし、ヨシとしよう。


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