愛を教えて ―背徳の秘書―
雪音の言葉に卓巳も万里子の気分転換にはすぐに賛成する。
妻思いの彼はわざわざ自分のリムジンを迎えに寄こし、付き添いとして、雪音の同行を命じたのであった。
「いいえ。でも、会社での旦那様を目にする機会なんて、そうそうありませんよね? 私も楽しみです」
色んな噂は聞くが、自宅では妻にベッタリの卓巳だ。果たして、社内では妻に対してどんな顔をするのだろう? 見ものである。
「あら? それだけ?」
「どういう意味ですか?」
「雪音さんが仕事ぶりを見てみたいのは、卓巳さんじゃないような……」
「奥様っ」
万里子はくすくす笑いながら本社屋に入って行く。
そのあとを雪音は慌てて追った。
「こちらでございます」
受付にいた女性社員が、丁寧に最上階まで案内してくれた。
先月女子大を卒業したばかりの万里子に比べ、雪音のほうが社会人経験は長い。
だが、大企業で働いたことも、事務職も経験がなかった。ふたりともこういった高層ビルとは無縁のライフスタイルである。そのせいか、会社の中は目新しいものばかりだ。
妻思いの彼はわざわざ自分のリムジンを迎えに寄こし、付き添いとして、雪音の同行を命じたのであった。
「いいえ。でも、会社での旦那様を目にする機会なんて、そうそうありませんよね? 私も楽しみです」
色んな噂は聞くが、自宅では妻にベッタリの卓巳だ。果たして、社内では妻に対してどんな顔をするのだろう? 見ものである。
「あら? それだけ?」
「どういう意味ですか?」
「雪音さんが仕事ぶりを見てみたいのは、卓巳さんじゃないような……」
「奥様っ」
万里子はくすくす笑いながら本社屋に入って行く。
そのあとを雪音は慌てて追った。
「こちらでございます」
受付にいた女性社員が、丁寧に最上階まで案内してくれた。
先月女子大を卒業したばかりの万里子に比べ、雪音のほうが社会人経験は長い。
だが、大企業で働いたことも、事務職も経験がなかった。ふたりともこういった高層ビルとは無縁のライフスタイルである。そのせいか、会社の中は目新しいものばかりだ。