愛を教えて ―背徳の秘書―
当の本人である雪音は、何も言わずに引く女だ。
だが、万里子は違う。か弱い、たおやかな女性に見えるが、中々どうして肝が据わっている。口先では絶対にごまかせない、宗にとって最も苦手なタイプだった。
その万里子を敵に回すという事は、卓巳も間違いなく敵になる。
朝美はおそらく、宗と雪音の関係を知らないから……。
そのとき、クッと朝美が笑った。
「いやぁだ、もう。何を真剣に悩んでいるの? そんなはずがないでしょう? あなたみたいに節操のない男と、無防備に関係するほど愚かな女じゃないわ」
朝美の言葉に、宗はあからさまに息を吐いた。
同時に、今や、宗の言いなりに身体を許す雪音のことを思い浮かべる。
打算も何もなく、馬鹿な男の嘘に騙されてくれる女だ。朝美の言葉を借りれば『愚かな女』と言える。
雪音に逢いたい。
宗が胸の中で雪音の顔を思い描いたとき――。
「ねぇ、志賀香織に困っているんじゃなくて?」
朝美は思いがけず、香織の名を口にした。
彼女の指先には、勤務中とは違うピンクのラインストーンが危険な輝きを放っていた。
だが、万里子は違う。か弱い、たおやかな女性に見えるが、中々どうして肝が据わっている。口先では絶対にごまかせない、宗にとって最も苦手なタイプだった。
その万里子を敵に回すという事は、卓巳も間違いなく敵になる。
朝美はおそらく、宗と雪音の関係を知らないから……。
そのとき、クッと朝美が笑った。
「いやぁだ、もう。何を真剣に悩んでいるの? そんなはずがないでしょう? あなたみたいに節操のない男と、無防備に関係するほど愚かな女じゃないわ」
朝美の言葉に、宗はあからさまに息を吐いた。
同時に、今や、宗の言いなりに身体を許す雪音のことを思い浮かべる。
打算も何もなく、馬鹿な男の嘘に騙されてくれる女だ。朝美の言葉を借りれば『愚かな女』と言える。
雪音に逢いたい。
宗が胸の中で雪音の顔を思い描いたとき――。
「ねぇ、志賀香織に困っているんじゃなくて?」
朝美は思いがけず、香織の名を口にした。
彼女の指先には、勤務中とは違うピンクのラインストーンが危険な輝きを放っていた。