愛を教えて ―背徳の秘書―
「宗、警察から連絡があったそうだな」
「……はい」
社長室に呼ばれ、卓巳は宗の顔を見るなり朝美のことを訊ねる。
通勤途中、階段から落ちることはあるだろう。
だが、昨日の今日で二日連続というのは、そうあることではない。『突き落とされたような気がする』という目撃者の声もあり、警察から問い合わせがあった。
「まさかとは思うが、この件にお前が絡んではいないだろうな」
「ご冗談を。ただの偶然だと思われます」
「…………志賀くんが休んでいるようだが。何か心当たりがあるんじゃないのか?」
卓巳は疑惑の色に塗られた声で、宗を詰問する。
香織からは今朝電話があったらしい。
秘書室の女性社員が受け、高熱と眩暈で休みます、とのこと。宗は朝美のこともあり、気になって自宅と携帯に電話を入れたが全く出ない。
まさかとは思うが、宗の件で香織が朝美を……。
もし週刊誌に嗅ぎつけられ、藤原グループの名前が出た場合、とんでもない醜聞になってしまうだろう。
「……はい」
社長室に呼ばれ、卓巳は宗の顔を見るなり朝美のことを訊ねる。
通勤途中、階段から落ちることはあるだろう。
だが、昨日の今日で二日連続というのは、そうあることではない。『突き落とされたような気がする』という目撃者の声もあり、警察から問い合わせがあった。
「まさかとは思うが、この件にお前が絡んではいないだろうな」
「ご冗談を。ただの偶然だと思われます」
「…………志賀くんが休んでいるようだが。何か心当たりがあるんじゃないのか?」
卓巳は疑惑の色に塗られた声で、宗を詰問する。
香織からは今朝電話があったらしい。
秘書室の女性社員が受け、高熱と眩暈で休みます、とのこと。宗は朝美のこともあり、気になって自宅と携帯に電話を入れたが全く出ない。
まさかとは思うが、宗の件で香織が朝美を……。
もし週刊誌に嗅ぎつけられ、藤原グループの名前が出た場合、とんでもない醜聞になってしまうだろう。