愛を教えて ―背徳の秘書―
和田雪音（わだゆきね）、藤原グループ社長宅に勤めるメイドだ。

社長夫人の万里子と同じ歳で今年二十三歳。見た目はクールでドライだが、中身は……超がつくほどの寂しがりやで甘えん坊、しかもヤキモチ妬きだった。

これまで付き合ってきた女性は、彼が若いころは年上が多く、ごく最近でも五歳下くらいか。

それがいきなり、ひと回りも年下の雪音に振り回されているのだ。彼自身もどうしてこうなったのか訳がわからない。　


最初はこんなつもりではなかった。

藤原邸の内情も知っていて損はない。社長の従妹である静香と関係はあったものの、メイドにも興味が惹かれた。

だが、その多くは社長の従弟である太一郎のお手つきだ。彼と女性を共有するのはごめんだと思い、太一郎と関係せず、さらには社長にも興味を示さない雪音に、宗は目をつけた。


軽い気持ちでさり気なく粉をかけたが、雪音は簡単にはなびかない。

そんな雪音に近づくため、無断外出に手を貸すようになり……それが他の男のためであることを知る。


相手は誰の目にもまともな男ではない。クズ同然の男に貢ぐ雪音に危険な兆候を感じ、見張りを言い訳に彼女の身辺を徹底的に調査した。

だがしだいに、宗はやり場のない苛立ちを覚え始める。

ちょうどそのころ、男が取り返しのつかない失態を犯し……。宗は雪音の憔悴につけ込んだ。


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