愛を教えて ―背徳の秘書―
だが、何かおかしい――宗が考え込み始めたとき、
「ねぇ……抱いて」
「ちょっと待て、そんなことしてる場合じゃ」
「一度でいいから、私のこともこんなふうに求めてよ! 一度くらい本気で抱いてよ、お願いだから」
香織は大粒の涙を流しながら、宗に強く抱きついた。
「お願い……助けて、もう私ダメになりそうなの……お願い」
突き放せばおそらく「死ぬ」と言い出すだろう。
それに、女の涙は誘惑にも等しい武器だ。多用すれば効果はないが、ここまでプライドを捨てて抱きついてくる女はまずいない。
宗の胸に複雑な想いが過り……。
外の雨はゆっくり、そして確実に強く降り始めた。
「ねぇ……抱いて」
「ちょっと待て、そんなことしてる場合じゃ」
「一度でいいから、私のこともこんなふうに求めてよ! 一度くらい本気で抱いてよ、お願いだから」
香織は大粒の涙を流しながら、宗に強く抱きついた。
「お願い……助けて、もう私ダメになりそうなの……お願い」
突き放せばおそらく「死ぬ」と言い出すだろう。
それに、女の涙は誘惑にも等しい武器だ。多用すれば効果はないが、ここまでプライドを捨てて抱きついてくる女はまずいない。
宗の胸に複雑な想いが過り……。
外の雨はゆっくり、そして確実に強く降り始めた。