愛を教えて ―背徳の秘書―
これまで、彼の中で何がなんでも抱きたい女は存在しなかった。
まるで、スポーツジムを幾つもかけ持ちして通う感覚だ。適度に汗を流すことができれば……誰のベッドでも構わない。
若いころは、いつかはひとりに決めようと思っていた。
しかし、セックスを安易に考える気持ちが、やがて、ひとりに決めなくてもよい、誰でも同じだ、に変わっていった。
――遊びでセックスはしたくない。本気で愛してくれないと嫌だ。他の女を抱かないで。
そんなふうに宗にぶつかって来た女は雪音だけだ。
“バレさえしなければ……”
それは常に宗が自分自身に使い続けた言い訳だ。
だが、昨日の朝美とのセックスは最悪だった。楽しくもなければ、気持ちよくもない。反吐が出そうなほどのセックスを宗は初めて味わった。
そして今も、心は香織を抱きたくないと言っている。
だが、自殺を仄めかされたら、この場から逃げるに逃げられない。
「わかった。降参する。本当のことを話す。だから……もう、許してくれ」
いきなり白旗を振り始めた宗を、香織は呆然と見つめる。
「いったい、何? 本当のって」
まるで、スポーツジムを幾つもかけ持ちして通う感覚だ。適度に汗を流すことができれば……誰のベッドでも構わない。
若いころは、いつかはひとりに決めようと思っていた。
しかし、セックスを安易に考える気持ちが、やがて、ひとりに決めなくてもよい、誰でも同じだ、に変わっていった。
――遊びでセックスはしたくない。本気で愛してくれないと嫌だ。他の女を抱かないで。
そんなふうに宗にぶつかって来た女は雪音だけだ。
“バレさえしなければ……”
それは常に宗が自分自身に使い続けた言い訳だ。
だが、昨日の朝美とのセックスは最悪だった。楽しくもなければ、気持ちよくもない。反吐が出そうなほどのセックスを宗は初めて味わった。
そして今も、心は香織を抱きたくないと言っている。
だが、自殺を仄めかされたら、この場から逃げるに逃げられない。
「わかった。降参する。本当のことを話す。だから……もう、許してくれ」
いきなり白旗を振り始めた宗を、香織は呆然と見つめる。
「いったい、何? 本当のって」