大嫌いだから、ね? ③
「・・・いいところ?」
つぶやいた長岡くんの声が、冷たく聞こえた気がするのは気のせいではないと思う。
いつもは優しい光を宿している茶色の目が、光くんと斉木くんを厳しい目つきで見据えた。
「なにをいってるんだか、ね。
だいたい、こんな冷たい雨で女の子ぬらすなんて、最低だね。その時点で、失格退場だよ。
熱くなるのは勝手だけど、ぬらすのは女の子じゃなくて、自分たちの頭にしたほうがいいと思うよ。
海老原、斉木」
「・・・」
返す言葉が見つからないのか、二人は黙って顔を見合わせて、それから私をみた。
いうほど、雨にぬれたとは思わないけど、確かに、髪の毛が水分を含んで、重くなっている。
斉木くんが頭をかきつつ、いった。
「ゴメン、福田さん。気づかなかった。つい・・・熱くなって。
けど・・・少しだけど、一緒に登校できてうれしかった。
また、みかけたら声かけてもいい?」
「いいわけねぇよ!」
即座に光くんが却下したけど、私は気がついたら、うなずいてた。
特に拒否する理由もないし、それに男の人とも普通に話ができるようになりたいから。