大嫌いだから、ね? ③
「男たちが騒ぐだけあるよね。
あなたをこうして近くでみると、納得。
小さな顔に、大きな瞳、つやつやした桜色の唇に、そばかす一つない真っ白な肌。髪は、腰まであって・・・細そうに見えて、スタイルもいい
生徒会役員で、もちろん、頭も良いなんて・・・出来すぎかな?」
人形のように整った顔をしている彼女にそう言われても、なんと答えていいかわからない。
顔やスタイルなんてどうかはしらないけど、生徒会役員の仕事は大変だし、勉強だってちゃんと、予習、復習しているからあるていどの成績がとれているわけであって・・・、なにもしていないでそうなのだといういい方は、いやだ。
他人に、自分を否定されるということは、こんなにも不愉快な気分にさせられるのだと・・・、なんだか、痛くなってきたこめかみを押さえながらそう思った。
でも、彼女の言葉は止まらない。
「・・・男にとってはそうであっても、女にとっては、羨望と妬みの対象だよね。
ねぇ、知ってる?」
「なにを?」
声を震わせないように気をつけて、できるだけ毅然と聞き返した。
彼女がくすっと笑った。
「予想外に、気が強い。つつけば、すぐに泣きそうとか思っていたんだけど」
「泣かない」
「それとも、女のまえでは泣かない? 涙って、男の前でつかってこそ、効果的だからね」
「・・・そんなこと、しない」
そりゃ、泣き虫だけど、ねらって泣くなんて、そんな器用なまねできない。
それにしても、彼女はわざと私を怒らせようとしている、そんな感じがした。
だからこそ、カッとしてはいけない。
本当はおなかの底からむかむかしていて、頬も熱をもったように熱くなってきているんだけど・・・、彼女の挑発にはのらない、絶対。