大嫌いだから、ね? ③
「ふふ。そうそう、話の続き・・・あなたたち、持ちあがりの女の園クラスじゃ、そんなことないだろうけど・・・私たちのところでは、あなたは有名よ」
「有名?」
「ええ、いつも違う男をつれて歩いているって、時には複数、ね。そうでしょ?」
言葉とは違い、にっこりと笑顔をうかべて彼女はいった。
さあっと風ふいて、鼻の先に、大好きなハーブの香りが漂ったけど、それはいまの私にはなんの効果もなかった。
一瞬で、頭の中が真っ白になった。
いつも違う男を連れて歩いてるって・・・それって、なに? 私、そんなふうに思われているの? いやだ。
たぶん・・・きっと、一瞬で、顔から血の気が引いてる。
頭から、冷水をかぶせられた気分だ。
なんだか、足もとが不安定でくらくらする。
それでも・・・私は、ぎゅっと拳を握り締めて、震えそうになる唇を動かして、言葉を発した。
「違う。ひきつれて歩いてなんていない。それに」
精一杯の目力をこめて、彼女を見据えながら言った。
「どうして、名前すら知らないあなたに、そんなことを言われなければならないのか、理由がわからない」