大嫌いだから、ね? ③
「理由?」



 彼女が肩をすくめた。

 肩にかかっていた髪が、さらりと背中に流れ落ちた。




「いろいろと知りたかったから? かな? 

 クラスで噂の小悪魔的な女だという、福田陽菜っていうのは、本当に噂どおりの女なのか」

「小悪魔って・・・」

「ふふ・・・もっと、ひどい表現もあったけど、私からはこのくらいで。

 ちなみに、私は、何を考えているかよくわからない人っていう評価をもらっていたりして。

 私、集団行動嫌いだから」

「・・・単刀直入に聞きます。あなたは誰ですか?」



 埒が明かないと思った私は、ずばりと聞いた。

 彼女が笑う。



「私? ああ、そう。名乗ってなかったね。

 わざと、なんだけど・・・。

 でも、そろそろ名乗らないと礼儀知らずもいいところになってしまう。

 私は---」



 言いかけた彼女の言葉を、この場に現れることをまったく想像していなかった人物の声が遮った。


 


 

 




< 105 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop