大嫌いだから、ね? ③
 
「陽菜!」



 その声に、私は驚愕して、振り向かずにはいられなかった。

 いつもと違うかすれた声、でも、聞き間違えることのない彼の声は、はっきりと私の名前を呼んだ。



「なんで、どうして・・・光くん」



 今日も学校休むって、メールくれたよね。それで・・・放課後、またご飯作りに行くって約束して・・・。

 なのに、なんで・・・学校に、しかも、ここにいるの?



 制服は、ボタンがいくつかとめてなくって、なんとか着てきましたって感じで、髪は洗いざらしなのかさらさらと額にかかっていた。



 言葉なく立ち尽くす私の前に、まっすぐに歩いてきた。

 顔色が悪く見えるのは、まだ、風邪が治っていないから? なのに、どうして。

 疑問だらけ。頭がくらくらする。ますます、頭痛い。わけわからない。

 でも、それを口にする前に光くんの方が、先に口を開いた。




「あんな話、聞こえてきたら、いてもたってもいられなくて、大人しく寝てるなんて冗談じゃなくて」


「あんな話?」

「熱さましのんで、根性で学校にきたら、陽菜、おまえの友達が、わけのわからん女と陽菜が出て行ったってすごく心配してて」

「理佳が?」

「あんま、学校内よくわかんないから、探し回った。見つかってよかった」



 安堵のため息をついた光くん。みてみると、走り回ったせいなのか、額に汗が浮かんでいた。

 

 








 

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