大嫌いだから、ね? ③
「陽菜、大丈夫か? なんか変な女に何かされてないか? ぶたれたりとか、ののしられたりとか、けられたりとか。
そんなことしてやがったら、誰であろうと、おれがただじゃおかない」
光くんはそういって、私の上から下を確認する様にみた。
私はふるふると、首を振るしかない。
だって、なにもされてない。言われたけど・・・ののしられたわけではない、と思う。
「ううん、なんにも、ただ、話していただけだから」
「こほん、あのね、もしもし」
咳払いとともに、私と光くんの前に、一瞬、忘れ去っていた彼女が立った。
腰に手をあてて、挑むように光くんを睨んだ。
「もしかして、変な女っていうのは、私のこと?」
「あ?」
光くんが、始めて気がついたかというように彼女をみた。
数秒、かたまって、それから、光くんは叫んだ。
「あああああぁっ!!! なんで、おまえ」
「お前って、なによ、光」
彼女は、呼び捨てで光くんの名前をよんで、にっこりと本当にうれしそうにほほ笑んだ。