大嫌いだから、ね? ③
私がうなずいたのを見て、斉木くんはうれしそうに笑った。
「サンキュ。福田さん。またね、なんか、視線で殺されそうだから、先に行くよ」
「とっとといけ!」
軽く手を振って、斉木くんは小走りに校門に向かって走り出した。
私は見送ってから、振り向いた。
腕の力が弱くなって、光くんの手が離れた。
「陽菜さん、海老原、行こう。チャイムがなるよ」
長岡くんが促したけど、私も光くんも動かない。
光くんはけだるげに、額に手をあてた。
「陽菜、悪い。先いって。
早く、身体を乾かさないと、風邪ひく。
おれのせいで悪い」
「ううん」
私は首を振って、光くんに傘をさしかけた。
一番、雨にぬれているのは光くんで、風邪をひきそう・・・ううん、ひいているのは光くんだと思ったから。