大嫌いだから、ね? ③
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・・・ここは、どこ?
ふわふわのものに、頭が沈んでる。
枕?
清潔な石鹸のかおり。
目を開けてみたくても、身体中がだるくて、瞼すら持ちあがらない。
このまま、この清潔な香り漂う場所で、眠り続けていたい。
「・・・大丈夫?」
心配していたわるような声に続いて、ひんやりとした指先が額に触れた。
冷たくて、心地いい。
「熱いね。ごめん。具合悪いなんて、少しも気がつかなかった。
ごめんね。
心配してるよ。でも、保健室のベッドの区画まで男女別なんて、この学校・・・共学にするつもりあるのかな?
今も、入口の前で、心配でうろうろしてるよ。
自分も、まだなおりかけのくせにね」
くすくすという楽しげな笑い声につられるように、うっすらと目を開けてみた。
まぶしくて、よく見えない。
細めたままの目に映るのは、すこし、鋭くみえる綺麗な目。それは、私のしっているもう一人の目に、色も形も、よく似ていた。
「ダメだよ、目を閉じて寝てないと。
もうすぐ、親御さんが迎えに来るって。
うつったんだね、風邪が」
風邪? 本当に?
だとしたら、何年振りにひいたかな?
わすれちゃった。