大嫌いだから、ね? ③
「あ・・・」
なんとか声を出そうと思ったけれど、声が出ない。
かさかさに乾いた唇は、うまく動いてくれない。
「・・・無理にしゃべっちゃだめよ。唇、切れちゃうよ。つやつやだった唇が、痛々しいほど、かさかさだね。
また、いずれゆっくりと話そう?
今は、お休み、ね?」
優しい、優しい眠りに誘う声。
そっと、指先が瞼をなでて・・・、閉じてしまうともう、開けられない。
まどろみに戻る中、私は聞いた。
「お休み。早く良くなってね。
でないと私が許してもらえない。
大好きな弟に、ますます、嫌われてしまう」
おとうと? ・・・?
それって・・・光くんのこと?
光くん・・・姉弟いたんだ・・・。
幼稚園から知っていたのに・・・そんなこと、ぜんぜん知らなかった。
知らなかった・・・
・・・---