大嫌いだから、ね? ③
 
 夢と現実の間を、さまよっていたような・・・



 電子音の終了の合図に、脇の下から取り出した体温計を見て、私はほっと息を吐いた。

 微熱だ。

 雨にぬれたせいなのか、それとも、光くんにうつされたのか、何年かぶりに風邪をひいた。でも、人にうつされる方が重いのだとしたら、彼からかもしれない。

 風邪で意識をなくし寝込んだことなんて、今までなかったのに、カレンダーを見て、寝込んで三日目なのだと確認する。驚きだ。

 どうやって、家のベッドに寝かされたのかも定かではなくて・・・発熱してからの記憶も正直、定かではない。

 いつから熱があったのだろう? 朝から、昼休み? 記憶はパズルのピースのように断片的だ。

 熱に浮かされながらも、お母さんが何度か部屋を出入りするのと、机の上の鞄の中から、携帯メールの着信音が何度もなっていたのだけは覚えている。

 ようやくベッドで半身を起こせるようになった。

 まだけだるい感じがするのは、微熱がまだあるのと、寝すぎたためだろう。

 

 頭がはっきりするもの、飲みたい。コーヒーはだめかな?

 だったら、ハーブティ。ミント? セージもいいかも。

 フレッシュがいいから、お母さんに取ってきてもらって入れてもらおう。
 
 梅雨の雨にぬれて、青々としたスペアミントと、アップルミント、セージを思い浮かべていたら、携帯が鳴った。

 メールの着信音だ。数秒お知らせして、音が止まる。

 受信メールたまっているよね。

 返信するかな? それなら、ベッドの中ででもできるし・・・。


 

 
 



 
 


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