大嫌いだから、ね? ③
私は手を伸ばして、額に指先で触れた。
ぬれた髪をかきわけて、手を当てる。
光くんは瞠目したけど、すぐに目を閉じた。
「陽菜の手、冷たくて気持ちいい」
「光くん、熱いよ。すごく、熱があるみたい」
「やっぱり?」
肯定して、光くんはにっこり笑ったけど、そこは笑うところじゃないと思う。
「熱?」
長岡くんもそばにきて、光くんをまじまじと見た。
いやそうに、光くんは眉根をよせた。
「じろじろみるなよ。男に見られるのは気色悪い・・・・」
「なにいってんだか、海老原。おれだって、やだよ。
けど・・・そのうるんだ目、赤い顔、熱---どうみても、病人だ。
三日も休んでたけど、まだ、治ってないんだね、風邪」
長岡くんがため息をついた。