大嫌いだから、ね? ③
意地悪な光くんは、嫌い。
・・・小さな頃の嫌な記憶を呼び覚ますから。
いっぱいいっぱい意地悪されて、泣かされて、姿を見るだけで逃げ出して、追いかけられていた時の。
今の光くんはもう違うってわかっているし・・・ほんの少しのからかいに本気になって頭にきてしまう私は、やはり、いつもと違うのかもしれない。
「もしもし、陽菜!?」
「・・・」
なんと言葉をつづけていいか、感情が高ぶりやすくてわからなくて、無言になってしまった私の耳に、真剣な光くんの声が届いた。
「ごめん。陽菜。本当にごめん」
そのまま、私の返答を待つかのように黙る光くん。
沈黙。
・・・でも、その沈黙をすぐに破ったのは、私だった。
「・・・あ、その、光くん」
真摯な光くんの言葉が、私に冷静さを与えてくれた。
そう、さっき、ずっと待っていたじゃない。
些細なことで怒って、自分の気持ちを---光くんの声が聞きたかったという気持ちを忘れてしまいたくはない。