大嫌いだから、ね? ③
教えてほしい。
でも・・・私はためらってしまう。
「教えてほしいですけど・・・本人の了解もなく・・・きいてもいいのかな、なんて」
「いいと思うけど」
あっさりと、佐藤くんは答えた。
片目をつぶって、笑う。
「福田さん限定なら、ね? 今、携帯持ってる?」
「あ・・・教室の鞄の中」
「それじゃ、手」
「?」
いわれるままに手を出すと、佐藤くんはどこからかサインペンを取り出した。
意図に気がついて止めるまもなく、さらさらと私の手のひらに書き出した。
くすぐったい。
それに、なぜ、手? 教室に行けば、紙の一枚、二枚あると思うのに。
小学生以来だ。手に文字を書くなんて。