大嫌いだから、ね? ③
少しの沈黙の後、
「・・・ほんとに? 陽菜? なんで」
熱のせいか、少し、かすれた声が耳に届いた。
「うん。番号は、佐藤くんが教えてくれたの。ごめんなさい、許可なく教えてもらって、かけちゃったりして」
私は正直に話して、謝った。
光くんの、小さな笑い声が聞こえた。
「いいって、陽菜なら気にしなくていいよ。佐藤よくやったってほめてやりたいくらいだ」
「? あ、でも・・・よく、私からってわかったね」
「まぁね。普段なら知らない番号、かけなおしたりなんてしないけど・・・留守電聞いたから」
「ごめんなさい、名乗らずに切っちゃって」
「うん、でも、陽菜の声だってすぐにわかった。
おれに、わからないはずないだろ?」
自信満々でいう光くんに、私はどきんっとした。
わからないはずないって---数秒吹き込んだだけの留守電だったのに、光くんにはわかったの?
それが、とてもうれしかった。