大嫌いだから、ね? ③
「陽菜、声、でかいよ。頭に・・・きーんときた。
・・・なんか、くらくらする。っ」
語尾が消え入るように小さくなって、やがて、咳き込む声が聞こえてきた。
苦しそうな、せきだ。
やむことなく、つづいている。
「ねぇ! 光くん、大丈夫! ねぇ、大丈夫!」
心配でたまらなくて、叫んだ。
「・・・っ」
光くんの声はよく聞こえない。
聞こえるのはせきと、苦しげな息遣いだけだ。
「ねぇ、大丈夫? 誰か、家の人はいるの、光くん、ねぇ!」
「・・・ない。おれ、だけ。・・・っ」
私は膝に抱えていたクッションを投げ捨てて、立ち上がった。
心配で、もう、部屋でじっとしていることができない。
病気で苦しいときに家でひとりっきりなんて・・・さみしすぎる。