大嫌いだから、ね? ③
「・・・とにかく、部屋で寝ないとだめだよ?

 光くん、立てる?」

「立てない。---それにソファ、冷たくて気持ちいい」



 言いながら、ソファにすりすりと頬をよせる光くんは、小さな子供みたいで・・・とても、可愛かった。

 可愛いなんていったら、光くんが怒りそうで口には出さなかったけれど、思わず、口元がほころんでしまった。



「陽菜、きついけど・・・おなかすいた」



 ぽつりと光くんがいった。



「もう、あれはあきた」

「あれ?」



 光くんの目線の先は、あまり使用していなさそうなピカピカのアイランドキッチンで、そのシンクのそばに、レトルトのお粥が三袋ほど鎮座していた。

 梅干しと、卵味。



「・・・母さんが置いてったけど、もう、飽きた。人工的でまずい」

「お母さんは?」

「勤務中。・・・今日は学校から連絡が・・・あったから、帰るっていってたけど、たぶん、夜中・・・かな?」



 光くんのお母さんって、何している人だろう?

 不意にそんな疑問が頭に浮かんだ。







  


 




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