大嫌いだから、ね? ③
「じゃあ、作るね? メニューはおまかせでいい?」
材料はあるけど、袋の中身をたしかめないと何を作れるかわからない。
光くんはこくんと素直にうなずいた。
「陽菜が作ってくれるものなら、何でも食べるよ」
そういえば、以前、光くんに頼まれてお弁当を作ったことがあった。
食べる量がわからなくて、かなり多めに作ったんだけど、彩に添えたパセリひとつだって残さないできれいに食べてくれたんだ。
作ったものを、きれいに残さず食べてもらえるのはとてもうれしい。
なんだか、俄然、やる気が出てきた。
「じゃあ、キッチンお借りして、作るね。光くんは、部屋で寝てて」
「動きたくないし。陽菜が料理作るところ、みていたい」
「でも、そんなところで寝てたら、寒いし」
「熱あるから、寒くない」
「・・・光くん」
ちょっとあきれて、ため息。駄々っ子みたい。
肩をすくめて言う。
「わかった。そこにいて。でも、身体に何かかけないと、駄目。
毛布でもとってくる。光くんの部屋どこ?」
「う・・・。散らかってるから、見ちゃダメ」
「光くん!」
ちょっと怒った声で言うと、光くんはしぶしぶというようにいった。