大嫌いだから、ね? ③

 私が歩くのにあわせて、円を描くようについてくる。

 皆、私よりも背が高く、それに傘をさしているから、周りの様子がよく見えない。

 登校する友達や、先輩たちの姿が見えれば、助けてもらうのに。

 助けるっていう表現は、周りの男の人たちに失礼かもしれないけど・・・。

 でも、この状態はどうにかしてほしい。

 

「福田さん、おとなしいっすね。あ、でも、そういう奥ゆかしいところ、おれのつぼにばっちりはいってます」

「つぼってなんだよ! あ、でも、陽菜さん、なんかいい匂いしますね。香水・・・にしてはきつすぎないし、シャンプー? 石鹸の香り。う~ん、萌ぇですね」

「ほんとだ、フローラル(?)な香りがする」



 いいながら、顔を近づけて、匂いをかぐのは、本気でやめてほしい。

 香水はつけていないし・・・石鹸やシャンプーは香りや質にこだわっているけど・・・でも、かがないでほしい。

 

「あ・・・あの、やめてください」



 声がふるえて、目の奥が熱くなる。

 目がうるんできているのが、自分でよくわかった。

 ぎゅっと、傘の持ち手を握り締めた。


 

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