大嫌いだから、ね? ③
「努力は認めるけど・・・うちの母さん、料理の才能ってものが皆無なんだよなぁ・・・。

 はい、おしまい」



 流れるような動作で、光くんは絆創膏を貼ってくれた。

 手際よく、薬箱も片づける。



「ありがとう。もう、痛くないよ」



 かすかにずきずきするけど、もう、そんなに痛まない。

 私は椅子から立ち上がった。



「もうすぐだから、作ってしまうね。

 光くんは約束通りまた横になって」

「いいよ。もう、けがなんてさせたくないし」

「光くん、私、指切ったのなんて、本当に何年振りかなんだから。

 もうしない。こんな中途半端なまま、調理終了なんてできないよ」

「けど」

「大丈夫。ほら、光くんはこっち」



 私は光くんの手をとって、引っ張った。

 熱い掌は、やっぱり熱があるからだろう。

 ソファのところにきて、両肩を押して、光くんを横にさせた。

 素早く上掛けをかぶせる。



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