大嫌いだから、ね? ③
「うわ。うまそ。やっぱり、陽菜は料理上手だ」



 感心したように言って、光くんは椅子に座った。

 私は御飯と、お味噌汁をよそって、光くんの前においた。



「ほめてくれると、うれしい。でも、ちょっと・・・ううん、かなりつくりすぎちゃった。

 作りすぎた分は、冷蔵庫にいれておくね。ブリなんて、四切れも焼いちゃったし。

 それから、ぜんぶ無理して食べないでいいよ。病気なんだから、少しでも食べて、それから薬を飲んでね。じゃ、キッチン片付けるね」

「陽菜はたべないの?」



 光くんが私の腕をつかんだ。

 調理器具を片付けようと歩き出しかけていた私は、そのまま、振り返った。



「うん。もう、八時近いし。家で食べるよ。

 それに使わせてもらったキッチンもきれいにしないと」

「そんなのいいって」

「よくないから。

 ね、光くんは食べてて。私、片付けてから、もう帰らないと」

「いやだっていったら、どうする?」



 つかんでいる手に、確かに力がこもった。

 痛くないほどの強さ、それでも、腕を振りほどけない、強さだ。





 

 








 
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