大嫌いだから、ね? ③
「ひ、光くん!?」



 声がうわずった。

 ぐいって引っ張られて、気がついたら、立ち上がっていた光くんが私を包むように腕を背中にまわしていた。

 すっぽりと、光くんが作った、腕の、輪のなかにいる私。



 だきしめられているわけではない。

 でも・・・、あまりに至近距離で・・・光くんの熱い体温を身近に感じる。

 飛び出しそうな心臓の音が、聞こえてしまいそう。



 動揺しつつ、頭ひとつ分は背の高い光くんの顔を見上げた。

 目が合う。

 熱のせいでうるんでいる瞳は、いつもの鋭さがなくて、むしろ、艶めいて、きれいだった。



「帰したくない。ずっと、ここにいて」

「え・・・」

 

 光くんの、低い声が切なげに響いた。



「帰らないで、ずっと、ここにいてほしいっていったら、どうする?」



 息がかかるほど近くで、光くんが私をすがるように見つめた。

 













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