大嫌いだから、ね? ③
「普通って何? 変ってなに?」



 いいながら、光くんの目がつりあがる。

 さっきまで優しい光を宿していた瞳が、つい、目をそらしたくなるほど、きついまなざしになる。



 怖い・・・。昔の光くんみたい。



 私はとっさに抑えていた両手を離して、後ずさろうとした。

 でも、できない。

 すばやく、光くんが私の両方の手首をつかんだから。



「陽菜が来てくれて、うれしくて、たくさんしゃべったけど、それって、変?

 おれ、いつもそんなにしゃべってなかった?

 いつもの、おれって、どんな感じ?

 陽菜の中でおれって、どんな奴なんだよ?」

「ど・・・、どんなって」



 痛くはないけれど、しっかりと手首を握られているから、逃げられない。
 



「ガキの頃からいっぱい陽菜には意地悪して、怖がらせたから・・・もう二度と、そんなことしたくないし・・・優しくしたいって思ってる。

 もう二度と、なかしたくなんてないから」

「・・・光くん」



 うん・・・そうだよ、この頃の光くんはとても優しい。よくわかってる。

 

「わかってるよ。・・・光くんはとても優しいよ。

 いつも・・・言葉よりも行動で、私にやさしくしてくれているよ」



 私は、怖くてそらしたい気持ちをこらえながら、まっすぐ光くんの目を見つめてそう言った。

 
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