大嫌いだから、ね? ③

 間違いなく、今の光くんは危険人物。

 やっぱり、わがまま言って、光くんの言葉をさえぎったりしなければよかった。

 熱でタガのはずれている光くんが、思うまま、行動したら、なんだか、とんでもないことをされそうな気がする。

 あせっていう。

 

「ひ、光くん、と、とにかく、ご飯たべよう。ね? ね?

 そして、早く薬を飲んで、風邪を治そうね」



 ダイニングテーブルにきれいに並べられた食事。まだ、冷えてはいないと思うけど、ぬるくはなっていると思う。



「風邪、陽菜に、うつしちゃおっかな? 口うつしなんてどう?」



 私の台詞は軽くスルーして、光くんは首を傾けて、顔を寄せてきた。



「ダメ!」



 いいながら、ぎゅっと目をつむる。

 数秒の間。

 なにもされない?

 目を開けると、今にも吹き出して爆笑しそうな、光くんの顔が目の前にあった。



「うつすわけないだろ、陽菜。きつい思いなんて、陽菜にさせたくない。

 けど・・・ちょっとだけ」



 いって、光くんが腕をまわして、私をぎゅっと抱きしめた。



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