大嫌いだから、ね? ③
「こうして抱きしめていい? 陽菜に三日も会ってなかったから、充電」

「う、うん」



 うなずいたけど、緊張で立っていられない。

 どうしていいかわからなくて、ただかたまって、じっとする。

 でも、身体の中で、心臓はバクバクして、今にも口から飛び出してきそうだ。



 でも・・・だんだんと、このぬくもり・・・光くんの少し高い体温を心地よいと思えてくるんだ。

 誰かに、抱きしめられるのって・・・安心して・・・安らげるのかな?

 それとも、光くんだから、なのかな?



「・・・ねぇ、陽菜」



 ためらいがちに、光くんが囁いた。



「え?」

「やっぱり・・・いってもいい?

 熱のせいでも、たしかにいつもより・・・おしゃべりかもしれないけど・・・。

 ずっと・・・言いたかった事っていうのは、まぎれのない本音で・・・ずっと、言わなきゃって思っていたことだから。

 もちろん、陽菜が望むように、病人じゃない、おれのときにいったほうがいいのかもしれないけど・・・。

 焦るんだ。・・・だって、三日おれがいなかった間に、あれだけ虫よけしてきたのに、野郎どもが陽菜の周りによってきてるし・・・先こされるんじゃないかって・・・あせるんだ。

 おれ、陽菜に関しては、自分に全然、自信ないし。昔、嫌われていたっていう自信は、なさけないことにあるけど、ね。

 ねぇ、陽菜、いってもいい?

 行動よりも・・・言葉でちゃんと、伝えるべきことだと思うし・・・いい?」

「・・・」



 言葉は出てこなくて、でも、私はこくんと、首を縦に振った。

 
 

 


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