大嫌いだから、ね? ③
---それから、光くんは・・・
「・・・なんか、急速に気分が悪くなってきた。
食べたら、ねる・・・」
と、呟いて、引いたままだった椅子に座って、私が作ったご飯をあっという間に食べて、薬を飲んで、そのまま、自室に向って歩き出した。
後ろ姿に、妙に脱力感が漂っているというか、哀愁が漂っているというか・・・。
食べてから、部屋に向かうまで十分もかかっていない。早い。
自室のドアを閉める前に、振り返って、佐藤くんに命令するような、怖い口調で言った。
鋭い目つきが、怖い。
「飯をくうまえに、陽菜を送って行け、佐藤。くれぐれも紳士的にな。送りオオカミなんてしないように! ・・・したら、全力であの世に送る。
それから戻ってきて、飯。食器は片付けて、食器洗い乾燥機にいれればいい。
・・・あと、ケーキ、サンキュ。大王プリンはおれのだから、あとはすきにして。
・・・そうそう、言い忘れたけど、陽菜が作ったご飯はおれが、全部、あとで食べるから、おまえは、あれ」
指さしていたのは、レトルトのおかゆだ。
「梅でも、卵でも、なんなら、両方、いいぞ」
「ひどいっ。おれも、福田さんの手料理食べたいっ」
「うるせ! おまえなんて、馬に蹴られてしまえ!」
「う、ま!? うまなんていないし。って、ことわざっすか!? 海老原、文系ダメなのに、知ってたんだ」
馬に蹴られてって・・・。
人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて死んでしまえっていう、ことわざのことだよね。
二人の会話が面白くて、つい、くすって笑ってしまった。