大嫌いだから、ね? ③

 いいなぁ。

 佐藤くんと光くんって、そばで見ていて楽しい。



「うるせぇよ、佐藤。苦手っていったって、平均点だけはとってるし。

 大体、おまえその性格と行動で、成績はいいなんて、詐欺だよ。むかつく」

「詐欺じゃないって、実力です」



 胸を張って、佐藤くんが言った。

 そうそう、五月の中間テストの結果が張り出された時はちょっとびっくりしたの。

 だって、長岡くんが二位で、佐藤くんが一位だったから。・・・でも、入試の時の挨拶は、長岡くんがしたよね、なんでだろう???



「福田さん、三位だったよね。頭いいんだね、すごいねぇ。

 おれも、見習わなきゃ」



 ・・・見習うって、何を??? 一位でしょ、佐藤くん。その言動よくわからないです。
 


 光くんが、額を抑えつつ、ためいきをついた。

 

「はぁ・・・佐藤、弱ってるときにおまえと会話すると・・・ますます弱る気がするのはなぜだろうな。

 ・・・陽菜、もう、片付けなんていいから、そのまんまで。時間も遅くなるから。

 あとで、佐藤がするから気にしなくていいよ」

「はい、福田さんのためなら、やらせていただきます」



 片手をあげる、佐藤くん。

 でも・・・こんなに散らかしたままなんて、おうちの人に申し訳ない。

 
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