大嫌いだから、ね? ③
「でも・・・キッチン使わせてもらって、後片付けもしないで帰るっていうのは・・・」
「いいって。佐藤がする!」
きっぱりと、光くんが言い切ると、佐藤くんも力強くうなずいた。
「おれがしますって。おれ、女の子のためになにかするの、大好きですから」
「でも・・・じゃあ、メッセージだけでも・・・書くね」
「メッセージ?」
「うん、キッチン使わせてもらったお礼を・・・おうちの人に」
私は持ってきたバッグの中から、常備しているメモ帳とペンを出した。
留守中に勝手にキッチンを使わせてもらって、料理をさせてもらったというお詫びというか、お礼というか・・・そういうものをかいて・・・冷蔵庫にマグネットでぺたんとはった。
「いいのに、そんなこと。キッチンだって、やっとまともに使ってもらってうれしいと思うけど」
「・・・福田さん、字きれいだね。それに、メモ帳かわいいね。ピンク色ってとこが、キュートだねぇ」
「・・・佐藤・・・キュートってセリフきもいぞ」
ぼそっと、光くんが言った。
「じゃあ、帰るね」
私は持ってきた荷物を手に持った。
残った材料は置いて帰ると迷惑だろうから、家に持ち帰ることにした。
たくさん、使ったのでもうそんなに重くはない。
だから、佐藤くんが持ちますって言ってくれたけれど、遠慮した。