大嫌いだから、ね? ③
 
「もちろん、学校でも、ね、海老原?」



 含みをもたせて、佐藤くんが言う。

 しばらくの沈黙の後、光くんがいった。



「・・・礼はまた、大盛りカツカレーの食券でいいわけ?」

「もちろん!」



 勢いよく、佐藤くんがうなずいた。

 ・・・大盛りカツカレー??? そういえば、会長も、大好物っていってた。

 そんなに、おいしいのかな?



「じゃあ、福田さん、帰ろうか?

 海老原のご要望通り、送るよ」


「うん、ありがとう」



 窓から見える空は、もう完璧に夜で、星がないからまっくらだ。

 自転車だし、近いけど、やっぱり夜の一人は怖いので、迷惑だろうけど、送ってもらうのはうれしい。



「じゃあ、帰るね、光くん。また、明日」

「ああ、明日、待ってる。

 それに今日はありがとう。陽菜が来てくれて、本当に、嬉しかった」



 真顔で、まっすぐに目を見ながら言われたので、また、顔が赤くなってしまった。

 横で、佐藤くんが大きく目を見開いて、



「うわ・・・。福田さんになら、海老原そんな台詞いうんだ。しかも・・・真顔で、直球。・・・うわ、うわ・・・うわぁ・・・」



 頬に手をあてて、うろうろしている。



 これは熱のせいで、いつもの光くんじゃないです・・・ってあとで、佐藤くんに教えたほうがいいのかな?

 でも・・・なんとなく、それはやめた方がいいような気がした。

 

 





 
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