大嫌いだから、ね? ③
「大丈夫?」



 そっと、腕をつかんでいた手をはなして、心配そうに顔を覗き込む長岡くん。

 ・・・その視線に、なんだか、恥ずかしいような気がして、そらして、うつむいてしまった。

 下を向いたまま、呟く。



「あ・・・ありがとう、長岡くん」

「どういたしまして。さぁ、乗ろう、電車出ちゃうよ」

「う、うん」



 促されて、電車の中へ。

 ホームよりもずっと、混雑している。

 私の後から乗り込んだ長岡くんはさりげなく私の前に立って、人に押されないようにだろうか、その身体で空間を作ってくれている。

 自然に、優しい。



「そうだ、陽菜さん、今日、生徒会あるよね」



 自分から口を開かない私に、自分から声をかけてくれる。

 緊張を解いてくれるかのように。



「うん、放課後。会長が今日はぜったい全員出席で・・・かならず、ひとつ、案を考えて、発言するようにっていってたね」

「そういってたね。陽菜さん、なにか考えてきた?」



 長岡くんの問いに、私は少し首を振った。 
 

 

 




 


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