大嫌いだから、ね? ③
案というのは、在校生と持ちあがり組、高校からの新入学組、特に男子生徒とを、同じ学校に数年間をともにするものとして、もう少し、親睦を深めるためになにか催しをしようという---その案のことで・・・。
一応、新入生歓迎の行事は五月の初めにあったのだけれど、なんだか、女子は女子、男子は男子というような・・・微妙な距離ができてしまっており、その距離の解消にはならなかった。
持ちあがり組は、基本、小学校から、私のように中学からという人もいるけど女子ばかりで男子に距離を置き、男子も同年代の女子とはいえ、深窓の女子学校育ちの彼女らにどうやって、近づいていいものやらわかりかねているようで・・・。
それになにより、物理的にも、校舎が分かれていたりして、よけいに、交流を深めようがないのだ。
校舎は別、下足場も別というありさまで・・・。
このままじゃ女子高とかわりなく、このままではいけないということで、生徒会が動くこととなったのだ。
「いろいろ考えてはみたんだけど、思い浮かばなくて。
五月の新入生歓迎行事は、まぁ・・・先輩方が私たちを歓迎するために催してくれて、私は楽しかったんだけど・・・、楽器演奏に、コーラス、劇じゃ・・・鑑賞ばかりで、交流にはならなかったものね。男子生徒は・・・寝ている人もいたものね・・・」
「うん、まぁね・・・。ちょっと・・・男的には・・・つまらなかったかも」
ぼそっと、長岡くんがつぶやいた。
はっとしたように、長岡くんが口をおさえた。
「まずい・・・つい、本音が。・・・会長たち、電車通学じゃないよね。知られたら、恐ろしい」
「うん、知られたらね。でも、安心して、電車通学じゃないよ」
「それは、よかった」
心底、ほっとしたように、長岡くんがいった。