大嫌いだから、ね? ③
「そっ。ナイト、騎士でもいいけど・・・ま、同じ意味だし」



 一人で納得し、うなずいて、佐藤くんは私の方を見て、恭しく頭を下げたりした。

 通り過ぎる人たちが、何事かとちらちら横目で見つつ、通り過ぎていく。

 

「今日は、しっかり福田さんの守り役を務めさせていただきます」

「いっ、いや、いいです」



 思わず、恥ずかしさも手を貸して、そう答えた。

 ぶんぶん、首を振って、後ずさる。




「いいです!」

「だめ、だめ! おれ、海老原にしっかり頼まれてるんだから。

 じゃないと、海老原、心配で心配で、また風邪治ってないのに、出てきて、ぶりかえしちゃうからね。

 それで、いつまでたっても治らない。

 けど・・・海老原も丈夫そうに見えて、寝込むと長いよなぁ。

 鬼の撹乱って感じ?」



 ・・・なんかちょっと、違うし・・話がそれているような気がした。



「ま、とにかく、今日一日よろしくね、福田さん。

 君を守れば、おれにはもれなくカツカレーがついてくる」

「カ・・・カレー?」


 唖然とする私の耳に、長岡くんの深い深いため息が聞こえた。

 傍観していた長岡くんが、一歩佐藤くんに近づいた。

 



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