大嫌いだから、ね? ③
「佐藤、はっきりいえば、陽菜さんがひいてるぞ。

 顔ひきつっているのが、わからない?

 おまえにそういう役目を頼んだ海老原の気がしれないよ」



 横を向いて、小さく息を吐いて、それから私の真横にたった。



「佐藤がつくと、大げさすぎるというか、無駄なリアクションが目立つ。

 陽菜さんには、おれがついているから大丈夫だよ。

 昨日みたいなことにはならない。だから、安心して」




 最後の言葉は私の方を見ながらいった長岡くんのしぐさに、私はどうしてだか、どきんとした。

 昨日みたいなことって・・・男子に取り囲まれて、私が困って、泣きそうになっていたことだよね。

 光くんが助けてくれたんだ。

 今日は長岡くんが助けてくれるの?

 だから、今日は普段は会わないのに、行きの電車で出会ったのかな?

 もしかして、時間を合わせてくれた?

 

 くるくると疑問が頭に浮かんで、でも、なにから口にすればいいのかわからなくて、思わず、長岡くんの瞳をじぃっと見つめてしまう。

 


 




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