大嫌いだから、ね? ③
 何?というように、長岡くんが私を見つめ返しつつ、首をかしげた。

 その間に、ぱっと佐藤くんが入った。

 ぶんぶんと、手をふる。指はちょきの形をしている。もしかして、はさみ?



「はい、だめだめ! なに、みつめあってるわけ、二人とも。

 これだから、海老原、おとなしく病人してらんないんだよね。

 長岡は、危険人物リストの筆頭なんだってさ。まぁ、なっとくって感じだけど。

 おれが、女でも、その自然な優しさにほれちゃいそうだもん。でも、だめだからね、福田さん、海老原がぐれちゃうからね」

「・・・あのね・・・佐藤、一瞬、おまえが女だったらって考えて・・・気分悪くなった。うるさくて・・・なんだか、強烈そう」



 額を抑えつつ、長岡くんがつぶやいた。



「気分悪くなったって失礼な」



 佐藤くんが口を尖らせた。




「我が佐藤家の遺伝子を継ぐ者は、ほぼ間違いなく美形ぞろいなの。

 自分で言うのもなんだけど、おれだって、静止画だったら、結構いけると思う」



 ・・・静止画って・・・。



「それに、おれの一つ下の妹は、文句なしに美人だぞ。

 ただし、性格が、かなり悪いけど」



 性格悪いって・・・。そんなこといっちゃってるのばれたら、佐藤くん、妹さんに嫌われそう。

 なんだか、朝から、佐藤くんのテンションについて行ってると、ぐったりしてきた。

 

 

 
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