大嫌いだから、ね? ③
 私の様子に気がついた長岡くんがいった。



「大丈夫、陽菜さん? 具合悪くなった? やっぱり、佐藤の毒気にやられちゃった?

 はやく、学校行こうか?」

「毒気って・・・、あのな、長岡。フェロモンならまだしも、失礼な」



 憤慨する佐藤くん。なんだか、長岡くん、佐藤君にはわりと辛口のような気がする。

 長岡くんが、肩をすくめた。



「・・・あのね、佐藤。見世物でもあるまいし、こんな駅の改札口近くで、やりとりをえんえんと続けていることはとても、目立つことで、みょうに注目浴びていることにきがつかない?」



 たしかに、遠巻きにみている人たちがいる。

 ・・・朝から、妙な注目は浴びたくない。

 いやでも、長岡くんも、佐藤くんも目立つ容姿をしているのに。

 その二人に挟まれている私・・・どうみられているんだろう?

 ・・・クラスでの反応がちょっと怖いような気がした。



「・・・はやくいこう、ね?」



 思わずというように、二人を促す私。

 歩き出そうとした私に、声がかかった。



「おはようございまっす! 福田さん」



 人波をすいすい抜けるように、私たちの方に早足で歩いてくるのは、きのうの斉木くんだった。

 明るめの茶色の髪が、朝の光に金色に見えた。

 




< 82 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop