大嫌いだから、ね? ③
「あ、おはようございます、斉木くん」

「わぁ、うれしいっす。おれの名前、憶えてくれたんですね。

 ちなみにフルネームは斉木 翔です。クラスは一年---」

「はい、はい、はい、そこまで!」



 ずいっと佐藤くんは、私の前にさえぎるように立ちはだかった。

 ちょっと怖い顔して、言う。もっとも、むりに作ったような顔だったけれど。



「ナイトのおれに断りもなく自己紹介始めない、斉木。

 それに、だれもお前の名前やスリーサイズには興味ないから」

「だれが、スリーサイズなんかいったよ!」

「あれぇ? いおうとしなかった?」

「いうか!」



 ・・・また、漫才の続き?

 ため息が出そうになる私より先に、長岡くんが動いた。



「おはよう、斉木。

 漫才なら、二人でやってほしいな。

 おれたちは、先に行くよ、行こう、陽菜さん」

「え、あ、長岡くん」



 私の手首をつかんで、長岡くんが先に立って歩き出した。

 


「ちょ、ちょっと待てぇ!」

「待って、福田さん! 長岡はその手を放せぇ!」



 二人が口々に叫びながら、あわてて、あとを追いかけてきた。

 斉木くんがすばやく、私たちの前に回り込んだ。

 

 

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