大嫌いだから、ね? ③
「お前は、なにさまのつもりだ!」
びしっと、長岡くんを指をさしながら、斉木くんが叫んだ。
ふうっと、小さく長岡くんが息を吐いた。
「斉木、朝からきみもハイテンションだね。疲れないか?
もっとも、それだから授業中、教科書の陰で爆睡なんかしてるんだよ」
「何で知ってるんだよ」
焦ったような声を出す斉木くんに、長岡くんはため息をついた。
「教科書で隠してるつもりだろうけど、ああやって、右に左に揺れたり、何の夢見ているのか知らないけど、いきなり笑い出したりしたら、だれだって気がつくよ」
「う・・・。くそっ、おれのことはとりあえず、どうでもいい。
それより、さっさとその手を放せよ」
言いながら、斉木くんが断ち切るかのように腕を振った。
が、私とつながれた長岡くんの手に触れる前に、長岡くんはぱっと手をはなした。
大きく空振りして、よろける斉木くんは、佐藤くんにぶつかっていったが、おもいっきり、彼によけられた。
「いやだよ、抱きつかれるのは、絶対、女の子。野郎はお断り」
冷たく、きっぱりと、佐藤くんは宣言した。
斉木くんはこけることはなかったけれど、よろめいた姿勢からゆっくりと振り向いたときは、整えて細い眉は、怒りにつりあがっていた。
おもいっきり、長岡くんを睨みつける。
長岡くんは表情すら変えず、それを受け止めた。