大嫌いだから、ね? ③
 
「斉木にそんなふうに、睨まれる理由はないと思うけど」

「いや、ある! 絶対、ある!」



 力強く言い切って、斉木くんはとんでもない言葉をつづけた。



「おまえも、絶対、間違いなく、福田さんのことが好きだろう?」



 ・・・私は、その言葉を聞いて、固まった。



 長岡くんが私を・・・? 

 え・・・、えっと・・・?



 ぎこちなく、至近距離にいる長岡くんに顔を向けた。

 長岡くんはいつもと変わらない穏やかな表情を浮かべたまま、私を見返した。

 私を見たまま、微笑みながら、けれど、言葉は斉木くんに返した。



「おれが、陽菜さんのことが好き?

 どうして、斉木がそういうわけ? おまえが陽菜さんを好きだからか?」

「そうだよ!」



 否定せず、思いっきり肯定した斉木くんの言葉が、はっきりと耳に残った。



 え・・・ええ・・・っと、斉木くんが? 昨日、あったばかりで、名前をしったばかりなのに?


 ええ・・・ええっ。



 私は、汗ばんできた手で、自分の鞄の持ち手を握り締めた。

 そうしてないと、なんだか、恐慌状態になりそうで・・・。

 今、私は逃げ出したい気持ちをなんとか抑えながら、その場に立ち尽くしていた。




「おれは、福田さんが好きだよ。お前も、そうだろう、長岡?」



 再度、斉木くんが問うた。

 
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