大嫌いだから、ね? ③
長岡くんはゆっくりと、形のいい唇を動かした。
「そうだね、好きか、嫌いかといえば、それは好きの部類にはいるだろうね」
静かに、でも、はっきりとそういった。
好き!?
好きって、長岡くんが!?
私のこと!?
嘘でしょう? ああ、でもそうなら、私はどうしたらいい?
一瞬、脳裏に光くんの顔が浮かんで、私は反射的に、長岡くんから少し離れた。
それに気がついた長岡くんが、困ったように笑った。
「陽菜さん、そんな態度は少し、悲しいな。
でも、俺が言う好きって言うのは、今のところ、同級生であり、同じ役員であり、友達でもある、陽菜さんに対しての好きだから。
友達でも、だめ? 好きじゃないと、友達にはならないだろう?
それとも、おれと、陽菜さんは友達にはなれない?」
「ううん」
私はあせって、首をぶんぶん振った。
長岡くんの口調がさみしげに響いたから。